東野圭吾の小説
この読後感…
これほどの読後感は「罪と罰」以来だ。
罪と罰は泣けるし確かな希望があるしソーニャに対してはラスコリーニコフ同様に愛情を持ち、感じた想いは一つのベクトルで消化されるが
この秘密は無数のベクトルをどこへ飛ばせばいいのかわからない。
「そんなバカな……これしかないのか」
読んだ後の最初の感想。だが空白のページは答えてくれない。
秘密のあらすじ(wikiコピペ)
杉田平介は自動車部品メーカーで働く39歳。妻・直子と11歳の娘・藻奈美との3人暮らし。
ある日、直子の実家に行く為に直子と藻奈美の2人が乗ったスキーバスが崖から転落してしまう。直子と藻奈美は病院に運ばれたものの、直子は死去してしまい、藻奈美は奇跡的に助かった。しかし、助かった藻奈美には直子の魂が宿っていた。
「秘密」の前に「変身」を読んだのでそれについても書いとこう。
変身はダークな話で誠実な部類、つまりおれのような人間から見ると
ダークな成瀬純一の行動・言動は最初の内は痛快であり、憧れそうになる。
ただ段々と「行きすぎ→もはや異常者」という評価になる。
その過程の描き方が実に巧みである。
故にこの小説は主人公に共感はせず主人公をどうにかして助けてやりたくなる。
懸命に助けようとしたが助けられなかった
そんな絶望を読者に与えつつも主人公は望んだ結末を迎えるのである。
変身は女性が読んだ方が感動すると思う。ヒロインに自己を重ねるのが正しいとおれが思ったから。
ただ残酷な描写もあるのでR-18とする・_・
変身のあらすじ
或る大学病院の研究室の中で眼を醒ました成瀬純一は、脳医学の権威であるという、医師の堂元博士から、世界初の脳移植手術に成功したと聞かされる。手術は成功したように思われたが、だんだんと違和感を覚えはじめる。病院を退院した後も、違和感は少しずつ大きくなってゆく。食べ物の好みや、画風、性格そのものが、次第に変貌して行く…。
2作品を読んで、東野圭吾は素晴らしい小説家だと認定した。
またネタバレの隠し方が巧妙で見事騙されるがすごく得をした気にさせてくれる。
東野圭吾で他に気になったのが
どちらかが殺した
容疑者Xの献身
の2つあるのでどちらも読んでみようと思う。
どちらかが殺したは推理物で読者の怠惰な姿勢を非難したものらしく
容疑者は2人しか存在せず、ラストには主人公が犯人を当てるのだが
犯人の名前を表記していないという変わった作品らしい。
自分の読解力を試すには良いなあとおもったので読んでみよう。
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