短編集で今三つめをとうとうと読み進めていたんだけど終盤で読者への挑戦があった。
「自体のからくりを全て見抜いていただきたい!」と御大が要求してくるので、そうしようじゃないか。
大学生時代の御手洗潔の話であり、潔が事件に興味を持ったきっかけは友人のビリーが大学新聞で取り扱った小さな記事を潔に教えたからであった。
その内容は14日午後4時前ボストンのチャップマンストリートにある自動車牽引会社「ZAKAO TWOING SERVICE」の看板の「Z」の文字が銃で撃たれ穴があいていたというものであった。何発撃たれていたか?12発だ。そしてその弾は全てZの右肩部分に集中していた。
ここからは詳細も概要も書かずに推理だけを書こう、短編にあまり時間をかけるのはよろしくない。
二週間後にアートスクールをオープンする著名人アッカーマン氏は最初の妻キャシィ中尾との間にできた息子クリストファー中尾によって殺害された。潔が中尾と特定した理由は射撃の名手であるアッカーマン氏がダイイングメッセージとしてザッカオの看板のZをハンドガンS&Wで12発全弾を撃ち込んでZの文字を回転させたからである。するとZがNになり、ZAKAOはNAKAOになる。
アッカーマン氏の死体が壁から出てきた理由はむろん中尾が壁から出して死体を移動しようとしたのだ。しかしその作業中にグリフィン家に火事が起こった。慌てて彼は死体を放棄し窓からロープをつかって外に逃げた。
アッカーマン氏の死体が床からソファーの上に移動した理由はグリフィン家の鎮火の際にガス爆発が起きたことが原因であるはずだ。この衝撃によりアッカーマン氏の死体は少し浮き窓際の近くにある重心の低いソファーの上に移動してしまった。
壁から絵が出てきたことは、アッカーマン氏がアートスクールのオープンを祝して船曳きというイベントをする予定であったらしいが、これは壁の下方にリングがついており、どうやらこれを引っ張ると絵が出てくるというものであると推測される。これもまたガス爆発により強い衝撃を加えられてしまったため絵が現れたのだ。
ローラは潔の助言に従い、クリストファー中尾に電報を送った。だが、19日の夜ボストンは雷鳴轟く風雨だった。この電報は停電が起こったことにより送られなかったと断定する。すなわち送られていたなら中尾は自首をしたはずである。これが送られているから急いでアッカーマン氏の死体を移動しようとしたというのは間違った推理である。送られていないがアッカーマン氏の死体を壁に隠していたことがバレた、またはバレそうになっていると用心深くなったと考えると、クリストファー中尾は潔を見ていたと考えられる。死体を隠しているわけであるし、アッカーマン家に目を見張っていたとしても不思議は無い。そしておそらくなんだが初めにアートスクールに潔がパンフレットをくれませんかと訊いた相手が中尾である可能性が高い。この相手は外見の描写も無ければ氏名の表記も無く、一度だけ彼という呼称が用いられただけである。
壁から出てきた絵はアッカーマン氏が描いた息子クリストファー中尾の人物画である。つまりアッカーマン氏は中尾を校長にする予定であったと考えられる。
では、最後の問題となる潔が事件の真相を知るためには「プラスのスクリュウドライバー」を用意してきてくれとビリーに頼んだ理由である。これはおそらくザッカオの看板のZの文字をボルトで留めて修復したのでこれをプラスドライバーではずして事件当時の状況を作るんだと思う。
こんな感じ、さあ結末を読もう。
はいはい、読み終わりました。
電報は届いていて、雷鳴轟く豪雨であったからチャップマンストリートという繁華街でさえも人通りが消えていたんだな。なるほどなー、電報から電気関係に直結してしまっていたなあ。さすが御大、痺れましたビリビリ!
中尾の脱出の過程も多少違ったなあ。ロープで逃げたまでしか考えてなかったが、正解はそのロープをリングにひっかけたってことだったんだね。これで壁の絵が出てくるわけだ。なるほどー。ガス爆発はミスリードの伏線か。潔はガス爆発の事を聞いていないからガス爆発を考慮してはダメだよってことかな。
あと死体の移動だけどこれは明確に語られなかったなあ。ロープの事を考えると潔はガス爆発を知らないからガス爆発が原因ってことのほうがロープひっかかった?とかよりは蓋然性は高いと思うな。
んー、やぱ100%の正解にまではいけれんなー。くやしいなー。