「すべてがFになる」が簡単であった為、少々甘く見ていたと云わざるをえない。
木熊教授がお亡くなりになる288頁まで読んで推理したんだが非常にてこずった。
坂本くんが解けましたとか云ってたから一読で楽勝だと思ってたんだけど文章自体に犯人に直結するような記述が見当たらないからピンとこなかった。動機は表面にほとんど出てこない。過去に因縁でもあったパターンなんでしょうか、動機は検討もつかない状態で推理しろって事らしい。動機無しは善いです燃えますね。
タイプとしては有栖川有栖の「月光ゲーム」に近いと思う。あれと同じように緻密な推理を組まないと解けそうに無い。先程やっと犯人の行動を組み立てれたのでここに残して置く。
登場人物
木熊教授:木熊研のボス。50代。
喜多助教授:犀川の親友
市ノ瀬助士:清楚な美人で研究熱心。化粧しない。
八川:技官。30代。
横岸:事務官。50代。
中森:事務官
鈴村:図書事務員
向井・小川:守衛の60代のじいちゃんたち。
丹羽:D2。被害者。
服部:M2。被害者。喜多もおすすめする美人の苦学生。
荒井:D1。
船見:M1。ハスキィボイスの女性。
若林:M1。小柄な男子。
北大路:M2。無口。
下柳:M2。恋人あり。萌絵のサークルの先輩。
増田:ミイラで発見される。荒井と同期。
犀川創平
西之園萌絵
国枝:♂みたいな女史。結婚するとかほざく。
MAP
事件状況
犀川と萌絵は喜多助教授の実験見学をしにきた。
午後6時喜多と会う。萌絵がいるから談話スペースでと言い喜多の部屋ではなく談話スペースで会話。喜多は電話の用事があると言い、下柳に実験室を案内してもらう。
低温度実験室→準備室と見学、計測室には入ってない。搬入室にも入ってない。
案内後喜多と会話し、萌絵の父親が総長であった事を話す。
午後7時、実験開始。
丹羽が宇宙服のようなスーツを着て2重ドアの向こうへ入り、準備室に入る。木熊、市ノ瀬、船見がレシーバーを使って丹羽に指示する。
午後7時半になると丹羽と服部が交代して服部が2重ドアをくぐり準備室に入る。バルブ交換の指示。八川が服部さん大丈夫かな?と楽しげ。木熊がサーブボードの調子がおかしいぞとか云って2重ドアをくぐり計測室へ入るも10秒くらいでまた2重ドアくぐって出てくる。35分喜多がオーストラリアにメールしないといかんとかいって助教授室へ行く。木熊は教授室に戻らず犀川、八川と一緒にモニターを心配そうに見つめる。10分もすると木熊は犀川を連れて談話スペースでタバコ。
午後8時に実験終わり、服部が出てきて下柳、北大路、若林の3人が交代で入っていくプールの掃除。
木熊は宴会を低温度実験室ですると云い準備の指示。
実験室から計測室にいた船見と荒井が出てくる。
にこにこして喜多がやってきた。
木熊が横岸に他の先生達も呼んできてというが横岸は中森と鈴村を呼びに行かない。
丹羽と服部が見当たらないが宴会突入。
10時鈴村が丹羽の車が邪魔で帰れないとクレーム。しかし丹羽が見当たらない。おかしいぞ?捜索。やっぱりどこにもいないぞ?萌絵が準備室に鍵かかってるけどあそこは?鍵かかってるのはおかしいぞ?木熊が部屋に戻って鍵を持ってくる。開ける。服部がうつぶせで倒れてる。なーむー。搬入室へ入ると階段の下で丹羽がなーむー。どちらも宇宙服ではなく、Tシャツ等でナイフ刺さってる。
準備室の鍵はかかってたし、非常口の鍵もかかってたし、非常口は外からは開けられないし鍵も装備していない、搬入室のシャッターは外からは開けれないし、モーターが焼きついていて作動しない。犯人はどこから消えた?密室殺人や。丹羽と服部はいつからどこから入ってきていた?殺された順序は?なぜ犯人は非常口から出ずに密室状況にした?
すごく省略してこんな感じだったと思う。
シャッタは壊れていて人力では上げることは不可能。非常口は何秒も開けたままだと警報がなる。外から内側のレバーをかけることはできない。なんらかのトリックを使ってレバーがかかった状態にもできそうにない。
なのでこの2点から犯人が出たとは考えられない。犯人にとってもシャッタが壊れていたのは予想外だったんじゃないだろうか。犯人が密室を作った意図としては非常口と準備室のドアに鍵かけておけばシャッタから逃げたという事になり外部犯に目を向かせようとした。イレギュラーだったはずだ。
容疑者の否定可能部分をあげると
犀川、萌絵、市ノ瀬は宴会の最中一度も席をはずしていない。
守衛の二人は守衛小屋から離れていない。
木熊は事後4週後に死亡。
若林、北大路、下柳は実験が終わるまで院生室にいた。
丹羽と服部は実は恋人であり、親への紹介、事件前日に丹羽のアパートで過ごしたりとトラブルがあったとは考えられない。
実験の最中、荒井と船見はずっと計測室にいた。
中森と横岸は大概二人で事務室にいた。事務室にある準備室の鍵は使われた形跡は無い。
鈴村は図書室にいた。宴会には参加していない。準備室の鍵をかけることは実験室に入っていない鈴村には不可能。
八川と横岸は9時には帰宅したが、八川は実験の最中モニターをずっと見ていた。
そうなると残るは一人でそっから推理すると犯行状況はきっとこんな感じ。
午後7時半服部と丹羽が交代する。丹羽はこの後院生室には戻っていない。事件後院生室から宇宙服のようなスーツが見つかるがこの時戻ってはいない。となるとトイレ等で着替えた。トイレから外に出て中庭から準備室の非常口に入った。ドアは服部が開けた。服部は実験でバルブの交換を支持されたが上手くやる自信が無かったので丹羽に協力してもらったと考えられる。バルブ交換を終え、服部は準備室に出る。丹羽はこの後搬入室から出ようとでも思ったのか知らないが搬入室にいたところを犯人に殺害される。8時に実験が終わり服部は院生室に戻る。丹羽がいない。スーツを着替えた後丹羽を探しに行く。まだ準備室にいるんだろうか?と思い、非常口の方から行く。服部が非常口から行った理由は中に丹羽がいることがバレると実験の不正がバレるからである。そうしてコソっと非常口をノックするとドアが開いた。丹羽かと思ったら犯人で殺害される。時刻は8時過ぎ、5分~10分くらいは少なくともかかったはずである。犯人は非常口のレバーをかけておき、準備室から実験室をうかがいながら慎重にタイミングを見測らい準備室から出た。鍵はこの時かけたか、宴会の最中トイレにいくといって階段を上がりビデオの死界になったあと鍵をかけたかのどちらかである。この鍵は木熊の部屋にあった鍵のはずであり、いつ入手したか?であるが市ノ瀬が助教授、教授室のスペアキーを預かっているという記述があり、だとしたらこの3人はお互いの鍵を持っているのかもしれない。午後6時頃喜多以外は会議室で会議をしていた。この時木熊の部屋に入り鍵を入手した可能性は高い。また犀川が木熊とタバコを吸ったあと喜多の部屋にいったとき、喜多の部屋は大量の本で埋もれたいたという描写があるが、この喜多はスーツを本で隠していたかもしれない。スーツの処理として丹羽のスーツを後でこっそり院生室に戻しておかないと事件後院生室にスーツがあった経緯が不明になるので。
また、萌絵が襲われる時に木熊と市ノ瀬は九州にいたとなっているが市ノ瀬の視点記述のときに木熊は前日急用でなごのに戻ったとなっており、前日というのが萌絵が襲われた日であり、翌日に市ノ瀬が準備室に入ると木熊が死んでいた。そして喜多はオーストラリアに出張にいくといって犀川と萌絵が空港で送ったが、その後犀川と喜多はメールのやりとりを行っている。しかし犀川は喜多にメールを送ることはできなくて喜多からきたメールに返信という形式になっていたとある。これは喜多が海外サーバーでも経由してメールを送っただけで実際は帰国していてもおかしくなく、不在証明にはならないと考えられる。なので木熊を殺したのも喜多という事でどうだろうか。
木熊が急用で戻った理由としてはオーストラリアから喜多がいないぞ的な連絡があったからじゃないかな。
喜多が犯人であるというのが僕の論理の帰結でした。
よし、続きを読もう。
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